|
つかの間のひととき、小さなささやきに耳を澄ませる。
雨やどりをしているような、しんとした気持ちになりました。
写真家・ 川内倫子
甘酸っぱい感傷に危うく足をすくわれそうになりながら、
どこかこの映画がその着地点をきちんと見定めることが出来ているのは、
この思い出の分校の終焉を知った心の震えに支えられてのことだろう。
野山に人知れず咲く花にも、枯れる時の悲しみがあるように、
ニッポンの根っ子の毛根の先端がプツリプツリと切られていく痛みは、
この分校の卒業生176人の胸の内だけに秘められてしまって、
果たしていいのだろうか。
失われた学校時代への記憶にはたしかに甘美な惜別の思いに満ち溢れているが、
この映画の終着点がさりげなく示す、逆修の思いに心打たれた。
それは、こうやって根っ子の先々を切り削んでいくニッポンは、
いかにその大木を誇ろうとも、いづれ倒れる運命にあることへの静かな啓示とも受けとめられるからだ。
ドキュメンタリー映画監督 佐藤真「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」
それは山の分校をまるで知らないわたしにも、かけがえのない真実を教えてくれる。彼女がほんとうに伝えたい守るべきものは守りながら、
今を生きている子どもたちと花と先生の鼓動を誠実に伝えてくれる。
「トントンギコギコ図工の時間」「こどもの時間」監督
野中真理子
|